ケアウィルのアームスリングシリーズ|選ばれる理由とこだわり
こんにちは!carewillの作業療法士ハルです。
三角巾の代用品として、病院やクリニックで「アームスリング」を紹介されたことはありませんか?アームスリングは、脳血管障害により腕に麻痺がある方や、腕を骨折した方などが多く使っています。
アームスリング(画像引用:SIGMAX)
「アームスリング」は三角巾同様、傷病中の腕を吊るためのものです。三角巾に比べ、着脱が簡単なので一人で着脱でき、腕の位置の再現性が高いのが特徴です。
一方で、使用している方からは「長時間つけていると首が凝る」「ストラップが首に擦れて痛い」「いかにも怪我人という見た目が気になる」という声も…。
そんなアームスリングの課題を解決するのが、ケアウィルの「アームスリングシリーズ」です。この記事では、シリーズの2製品をご紹介します。
1.ケアウィルの「アームスリングシリーズ」とは?
ケアウィルの「アームスリングシリーズ」は、上肢に不自由を伴う方々のために、機能性とデザイン性を追求した服です。腕を安全に管理するのはもちろん、スタイリングがしやすいので、普段着としても便利にお使いいただけます。
脳血管障害、上肢の脱臼・骨折、肩関節周囲炎や腱板断裂、乳がん等によるリンパ腫、疼痛等で、上肢に不自由を伴う方々の「服の不自由」を解決するために開発しました。シリーズには、ケープ式とシャツ式の2製品があります。
いずれも当事者の方や医療・介護専門職に、幾度となくヒアリングを行いながら開発されました。三角巾やアームスリング着用時の課題であった、首や肩の痛み、1人での着脱、デザイン性を解決する製品です。
2.製品概要
2-1.シャツ式:「アームスリングシャツ」
アームスリングシャツは、2025年5月発売の新製品です。現在は初回モデルで、今後継続的な製品改良がおこなわれ、2025年11月開催の日本作業療法学会と合わせて次モデルを発表する予定です。
片手の小さな動作でひとりで簡単に着脱ができ、縦15cmある片方の面ファスナーを使って、保持する前腕の高さを自由に決められます。また、患側にあるループ(ゴム紐)を中央のボタンに留めることで患側の肘をしっかり固定します。通気性と速乾性が高い素材なので一年を通して着られます。
2-2.ケープ式:「アームスリングケープ」
2021年発売のアームスリングケープは、2021年のグッドデザイン賞を受賞しています。
一人で簡単に着脱でき、腕の重みを背中に分散することで首・肩への負担を減らしています。またケープ式にしたことで保温性を保ちながら、秋冬や夏のクーラーで冷えやすい首・肩まわりを保温します(カーディガンと同等の保温性)。そして服にみえるそのデザイン性から”出かけるときの着るものに困らなくなった”という声も、着用者の皆さまからいただいています。
アームスリングケープについては、こちらの記事でも紹介しています。
https://note.com/carewill/n/nb0aeccd3dece?sub_rt=share_pw
3. 何が違う?ケープとシャツの比較早見表
ではケープとシャツで何が違うのか、こちらの比較早見表をご覧ください。
3-1.ホールド力
最大の違いは「腕のホールド力」です。アームスリングシャツは、腕を生地でくるんで面ファスナーで身体に密着させて”しっかり”と、アームスリングケープは、ケープの内側にある袋に腕をゆだねて”ゆったり”と支えます。
3-2.使用開始時期
いずれも、歩行や、車いすの利用といった”移動”を支援する製品ですが、そのホールド力の違いから、アームスリングシャツは急性期から、アームスリングケープは回復期・生活期の使用をおすすめしています。
3-3.生地の違い
ケープは保温性のある生地のため、気温の下がる秋・冬や、冷房の効いた室内での着用時に、冷えからくる肩の痛みを和らげてくれます。
シャツは通気性・速乾性のある生地で、インナーとアウターとの間に着る衣服として季節を気にせず着用できます。
4.もっと詳しく知りたい方は
4-1.アームスリングシャツについて詳しく知りたい
①サイズ・カラー
フリーサイズで、男女兼用です。カラーは、現時点では、ネイビーのみです。
②使用シーン
・歩行や車いすでの移動時に
骨折や腕の麻痺が生じると、歩くときに腕の重みの多くが肩関節にかかります。そのため、肩周りに痛みが生じる方も…。アームスリングシャツなら、服の生地が腕の重みを両肩と背中へ分散させ、痛みを生じにくくしてくれます。
面ファスナーの留め外しは簡単にできるので、日常的には面ファスナーを留めずに腕を伸ばし、トイレへの移動やリハビリでの歩行訓練の時は面ファスナーを留めて腕を固定するといったように、シーンに応じた使い分けができます。
・腕の管理に不安があるときに
脳血管障害の方は、特に発症後すぐの段階では麻痺した腕がどこにあるかが認識しづらい状態になります。そのため、車いすやベッドへの乗り移り、車いすで移動するときに麻痺した腕を挟んでしまうことも。また、今後怪我をしないように麻痺した腕を自分で管理する必要性が生じます。
アームスリングシャツを使うことで、怪我のリスクを軽減するだけでなく、自分で着脱することで麻痺側の管理にも対応できます。
・一日の中で頻繁に腕の位置を変えたい腕に麻痺がある場合、アームスリングや三角巾を着用して常に腕を曲げたままの状態でいると、今度は肘が伸びにくくなってしまうことがあります。そのため、腕を”伸ばす⇔吊る”という状態を簡単に切り替えられるのが理想的です。
アームスリングシャツは、一度シャツを着てしまえば、ループとマジックテープを外すだけで、簡単に腕を伸ばせます。
③着脱方法
座った状態で膝や机の上にシャツを広げ、Tシャツを着るのと同じように頭から被ります。手順はこちら。
1,シャツの衿ぐりを持ち、首を通す
2.健側の腕を脇から出す
3.患側の腕を脇から出し、体の正面に置く
※脇のアームホール(腕を通す穴)は間口が広く、腕が出しやすくなっています。
4.前側の生地を持ち、患側の腕を包むようにして面ファスナーの中央を留める
※このとき、肘が90度曲がった位置になるように最適な高さで留めます
5.左右の面ファスナーを留める
6,患側の肘にあるループを外側から持ってきて中央のボタンにかける
7,完成
※動画はこちらから
④機能性に対する研究
この製品は、弊社・東京都立産業技術研究センター・大阪公立大学との3社共同研究契約に基づき神奈川県川崎市「令和6年度川崎市福祉製品等開発支援補助金」を活用し、産公学の連携により開発されました。
東京都立産業技術研究センターからのプレスリリース(2025/5/1)では、アームスリングシャツの温熱特性評価やホールド力評価が行われ、以下のような結果が得られました。
・従来モデルより40%涼しさが向上
・従来モデルより腕の安定性が向上し、三角巾と同等の安定性に
・三角巾に比べ、頸部の負担が大幅に軽減
⑤購入方法
2025年5月現在は、公式サイトとアマゾンでご注文できます。順次拡大予定です。
4-2.アームスリングケープについて詳しく知りたい
①サイズ・カラー
フリーサイズです。カラーは、ネイビー/グレーの2色展開です。
カラーは2色(左:グレー/右:ネイビー)
②使用シーン
・腕や肩に痛みや重だるさを感じるときに
脳血管障害や肩関節周囲炎など、急性期を過ぎこれまでのような日常生活を送る時期に入っても、肩に痛みや重だるさを感じることがあります。そんなとき、アームスリングケープで腕の重みを支えることで、肩への負担を軽減できます。
・外出時に人の目が気になるときに
三角巾やアームスリングをつけていると、「どうしたの?」と人に会うたびに聞かれたり、どうしても周囲の視線を感じる場面が多くなりがちです。それにより外出が億劫になってしまうことも。アームスリングケープは、外側からはケープを着ているように見えるため、「外出時に視線が気にならなくなった」という声もいただいています。
・肩周りの冷えが気になるときに
骨折や肩関節周囲炎など肩周りが冷えると、筋肉が緊張して痛みが生じることがあります。秋冬に関わらず、夏の冷房下でも室内で同じような症状は起きがちです。そんなときアームスリングケープは、保温性のある生地により肩周りを優しく温めてくれるので、痛みを和らげてくれます。就寝時、掛布団からはみ出てしまう肩が冷えないよう、肩当てとしても使用も可能です。
③着脱方法
ケープを膝や机に載せると腕を通しやすいため、座っての着脱をおすすめします。手順はこちら。
1.腕をめくり内側の内袋をあらわにする
2.患側の手を肘まで内袋の穴に通す
このとき、通した腕がずれないよう、内袋中央部の穴から患側の親指を出しておきます。肘もしっかりと内袋に入れてください。
3.健側の手で襟ぐりを掴み首に通す
4.患側と健側の服の形を整える
5.健側の手で後身頃をひっぱり形を整える
6.完成
※動画はこちらから
④温熱特性に対する研究
2023年、東京都立産業技術研究センターと医療法人三省会堀江病院と共に、アームスリングケープが身体・感覚に与える影響の定量的な評価の研究を行いました。
その結果、以下のような結果が得られました。
・アームスリングケープの温かさは防寒アイテムと同等
・三角巾に比べ首への負担が大幅に減少
▼研究報告はこちら
⑤購入方法
公式サイト、Amazon、Yahooショッピング、ふるさと納税からお買い求めいただけます。
5.自分に合うか不安な方はまずお試しから
「いきなり買うのは心配…」「試してみたい」という方には、サンプルを貸し出しております。数に限りがありますので、病院や施設の担当者の方経由でお申し込みください。こちらのフォームからお申込みいただけます。
6.アームスリングシャツは継続的な製品改良を続けています
アームスリングシャツは、当事者・医療従事者の声を基に製品開発が進められています。初回モデルのフィードバックを受け、今後も全国の病院・施設でのモニターを募集し、今後も製品改良を続けていきます。
2025年6月現在、40近い病院・施設からモニター参加協力を得ています!
引き続きモニター募集していますので、興味を持ってくださった方はこちらから、または以下のQRコードからお申込みください!(※注:対象は病院・施設に限定させていただいております。)
また、全国の学会・展示会でもアームスリングシャツの展示を行っています。実物を手に取り、その場でモニター応募してくださる方も!ぜひ展示スケジュールをチェックしてくださいね!
【今後の展示会スケジュール】
7.機能性とデザイン性の両立を目指して
医療現場で使われる製品は、まずは機能性が必要不可欠です。一方で、治療と同時に暮らしも続いていきます。そこにデザイン性が加わることで、落ち込みがちな気持ちに少しでもプラスの力が働くはずです。そんなお手伝いがケアウィルの製品でできればと、願っています。
今の状況をあきらめる前に、できる方法がきっとあるはず。私たちは、選択肢をお届けすることで、あなたの「できる」を応援します。
ケアウィルは、これからも当事者の方々の声に寄り添った製品づくりを続けていきます。